千葉県で障害年金取得サポートを専門に行う「めるかと社会保険労務士事務所」です。
「一度受給が決まれば、一生安心」……残念ながら、障害年金の多くはそうではありません。 数年ごとにやってくる「更新(障害状態確認届)」の手続きで、支給が止まったり、等級が下がったりすることへの不安を抱えている方は非常に多いのが現状です。
2026年(令和8年度)現在、精神障害や発達障害を中心に、国の審査トレンドは非常にシビアな動きを見せています。もちろん、障害年金の認定基準というガイドラインに則った適正な支給判断は当然です。しかし、書類審査という性質上、どうしても実態と審査結果に乖離が出てしまうというケースも起こり得ます。今回は、最新の統計データから見える「不支給のリアル」と、大切な年金を継続するために必要な「正しい伝え方」を解説します。
1. 統計が示す有期認定と更新
障害年金には、生涯にわたって受給が続く「永久認定」と、一定期間ごとに診断書の再提出が必要な「有期認定」の2種類があります。
① 更新がやってくる確率
最新の統計によれば、新規受給者の約6割から7割が「1年〜5年」の有期認定となっています。特に、症状の変化が想定される精神障害、発達障害、知的障害などの分野では、初回受給時はほぼ確実に有期認定(多くは2~3年前後)となります。これは、障害により症状が軽快したり、逆に重くなってしまう場合も考えられるからです。機構から送られてくる更新の診断書(障害状態確認届)が届いたら、誕生月の末日までに提出する形になります。
② 2026年のトレンド:更新の結果、支給継続するのは思ったより高確率?
「一度受給が決まっても、数年後の更新で止まってしまうのが怖い」という不安は、多くの方が抱える最大の悩みです。2026年現在の最新統計をもとに、その実態を解き明かします。
1)更新で支給停止や減額になる確率は?
厚生労働省や日本年金機構の業務統計(令和5年度〜6年度)によると、更新手続きの結果は以下の通りです。
- 支給継続(そのまま): 約98%
- 支給停止: 約1.0% 〜 1.7%
- 減額改定: 約0.8%
全体の数字だけを見れば「9割以上が通る」というのは事実であり、過度に恐れる必要はありません。しかし、この数パーセントの「支給停止」が、特定の障害種別に集中しているというデータがあります。
2) 精神障害・発達障害は「2割〜3割」が支給停止や等級変更?
全体の平均とは異なり、精神障害や発達障害の更新においては、支給停止や等級変更となる割合が約20%〜30%に達するという報告もあります。 もちろん、障害の状態が改善し、障害年金が不要になったという方も含まれます。そのための更新なのです。しかしながら、自覚している障害状態は変わっていないにも関わらず、支給停止や降級といったケースが起こります。
特に2026年現在は、新規申請における精神障害の不支給率が過去最高水準(約12.1%〜13.0%)まで急増しており、更新審査においても「日常生活能力」のチェックが以前より厳格化されています。
近年の統計では、精神障害・発達障害分野における「不支給(非該当)」の割合に変動が見られます。地域や時期によって差はありますが、提出された診断書の内容と、本人の実際の生活実態との「ズレ」がチェックされる傾向が強まっています。
2. なぜ「支給停止」や「降級」が起きてしまうのか?
更新時に年金が止まってしまう、あるいは2級から3級へ下がってしまうなどといった背景には、統計から読み取れる明確な理由があります。
① 「就労状況」による判断
「働けるようになった=障害が軽くなった」と安易に判断されてしまうケースです。 しかし、厚生労働省のガイドラインでは、単に働いていることだけをもって不支給とすべきではないとされています。重要なのは「職場でどのような配慮を受けているか(短時間勤務、援助者の有無など)」ですが、これが診断書に正しく反映されていないと、審査上の改善とみなされ、支給停止を招く一因となります。
② 診察室と自宅での「姿のギャップ」
主治医は、診察室での短い会話の中でしか患者さんの様子を知ることができません。
- 「診察の時は身なりを整えて、無理をしてハキハキ話してしまう」
- 「本当は毎日寝込んでいるのに、先生の前では『大丈夫です』と言ってしまう」 このような診察時の印象だけで診断書が書かれると、実態(日常生活の困難さ)が審査者に伝わらず、不当な不支給を招く結果となります。
3. 支給継続のカギを握る「日常生活能力」の判定基準
更新で最も重視されるのは、診断書の裏面にある「日常生活能力の判定・程度」の項目です。障害認定基準に沿って、特に重要な7つの視点を整理しました。
- 適切な食事: 献立を考え、調理し、後片付けまで一人でできるか。
- 身辺の清潔保持: 入浴、洗髪、歯磨き、着替えや掃除を自発的に行えるか。
- 金銭管理と買い物: 計画的に使い、一人でレジでのやり取りができるか。
- 通院と服薬: 決められた日に通院し、薬の飲み忘れがないか。
- 他人との意思伝達: 相手の話を聞き、自分の意思を伝えられ、集団行動ができるか。
- 危機の対応: 事故等の危険から身を守り、非常時は他人に援助を求められるか。
- 社会性: 役所や銀行の手続き、公共施設等の利用が一人でできるか。
「一人暮らし想定」の考え方
診断書を依頼する際、多くの相談者が「家族が手伝ってくれているから、なんとかなっている」と伝えてしまいます。 しかし、判定はあくまで「家族の助けがないと仮定した場合、一人でこれらができるか」で行われます。 「家族がいなければ食事を抜いてしまう」「ゴミ出しも家族任せ」という状態であれば、それは「一人ではできない」ことになります。この「ありのまま」を主治医に伝えることが、統計上の不支給を防ぐ最大の対策です。
ただし、本当に一人暮らしの場合には、これらすべての項目が「できる」と判断される可能性が高いです。その場合にはなぜ一人暮らしをしなければならない状況なのか、ほかの方の支援があるか、訪問看護等をどの位の頻度で利用しているかなど、支援があることによって生活が成り立っていることを丁寧に伝えることが必要です。
4. 就労すると直ちに年金が止まる?「働くこと」と「受給」の正しい関係
「働き始めたら、すぐに年金が止まってしまうのでは?」という不安から、働くことを躊躇されている方がいらっしゃいます。結論からお伝えすると、「働いて賃金を得たからといって、直ちに年金が停止される」ということは基本的にありません。次回の更新までは現状の障害年金が支給されます。(初診日が20歳前の場合、所得により更新の前であっても支給停止の可能性があります。下②)
更新の際に「就労状況」は審査の対象になりますが、大切なのは「働いている事実」そのものではなく、「どのような条件や配慮のもとで働けているか」という中身の部分です。
① 年金のために「働くこと」を諦めないでください
「年金をもらうために仕事を辞める」という選択肢は、私たちはあまりおすすめしていません。一度職場を離れると、次に自分に合った環境を探せるかどうかの保証はないからです。
大事なのは、無理をして「普通に働けている」と見せることではありません。
- 短時間勤務や休憩の追加などの配慮を受けている
- 職場の同僚や上司からのサポートが不可欠である
- 体調に合わせて休みを取りながら、なんとか続けている
このような「就労におけるハードル」をありのまま、正確に審査者へ伝えることが、受給と就労を両立させるための鍵となります。
② 【注意】「20歳前障害」の年金には所得制限があります
ただし、初診日が20歳前にある「障害基礎年金」を受給されている方の場合は、他の年金とは異なり、ご本人の所得額による支給制限があります。
これは、20歳前障害の年金が、保険料を納めていなくても受給できる「福祉的な性格」を持っているためです。言い換えれば、20歳前から厚生年金に加入して保険料を納めている間に障害年金の受給に至った場合には、所得による支給制限は発生しません。2026年度(令和8年度)の基準となる所得制限額(単身者の場合)は以下の通りです。
| 所得額(1年間の利益) | 支給の内容 |
| 3,704,000円 を超える場合 | 2分の1(半額)が支給停止 |
| 4,721,000円 を超える場合 | 全額が支給停止 |
※扶養親族がいる場合などは、この制限額がさらに引き上げられます。
※ここでいう「所得」とは、給与収入そのものではなく、収入から必要経費(給与所得控除など)を差し引いた後の金額を指します。
※子の加算がある場合、障害基礎年金の全額が支給停止になると加算も支給停止となります。
めるかとからのメッセージ
「更新が怖い」と不安になるのは、あなたがそれだけ真剣に、今の生活を守ろうとしている証拠です。
障害年金の手続きにおいて、自分を「悪く見せる」必要はありません。でも、無理をして「元気に振る舞う」必要もありません。大切なのは、日々の暮らしの中であなたが感じている「本当の困りごと」を、正確に、そして正直に審査者に届けることです。
私たちは、書類上の数字だけでは見えない「生活のハードル」を理解しています。
わからない部分は空欄のままでも大丈夫です。かっこいい言葉はいりません。 あなたのパートナーとして、診断書には書ききれない生活の音を一緒に言葉にしていきましょう。
無料相談も承っておりますので、まずはお電話、またはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。自然豊かな富里市の事務所にて、お待ちしています。

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